古民家の空き家の1階部分に素晴らしい作品が展開されています✧
ゆく水の家
(House of Stream)
この集落について思いを馳せるとき、私はいつでも旅人です。
それは単純に私が土地の人間ではなく、よその土地からやってきた人間だからです。
この土地にはたくさんの物語があります。
物語というのは、山の中にある、川がそばにある、雪がたくさん降る、住んでいる方々の歴史、他の土地へつながる道、そうしたたくさんの物語です。
私はそうした物語を見聞きして、試行錯誤をしながら旅人なりの小さな物語を作りました。
旅人の自分から見た、この素敵な物語を共有したいと思います。
市ノ沢集落は山の中、当間川と市ノ沢のすぐそばにあって、会場の家に居るといつも流れゆく水の音が聞こえます。
作品タイトルの「ゆく水の家」は「行く水に数かくよりもはかなきは思はぬ人を思ふなりけり」という、古今和歌集の和歌から「ゆく水」という言葉を引用しています。
この和歌は「流れる水に数を書いてもすぐに流れてしまう。それよりも思いの届かない人を思うことの方が切ない」そんな恋心を歌う和歌です。
作品を作っている時の「物語が観客に届いてほしい」と想う、旅人的な気持ちをこの和歌と重ねてみました。
そうして、家から聞こえる流れる水の音を想いながら障子紙にボールペンで流れを描き、ポリカーボネートの波板を熱で変形させて流れを表現し、家の中に川を作り、観客が眺められるように木道をこしらえました。 以上の作家さんの想いが作品からひしひしと伝わってきます✧
耳をすませば聞こえてくる実際の川の音とともに、ボールペンと波板の二つの流れを鑑賞いただくことで、当間川と市ノ沢のすぐそばにある市ノ沢集落の物語を、作品のなかで再び見つけてもらえると嬉しいです。 ーー 作家コメント
表現されたポリカーボネートの波板が家の中に川を作っています!!
障子越しの電気の色が濃いオレンジ色になる時は少々不気味な感じもしましたが・・・
最も濃い(暗い)色合いになると不気味な感じを通り越して陰影の素晴らしさに浸れます♬
そして次第に明るい色に変化してくると・・・水の流れをボールペンで描いた感じが見て取れます✧
ボールペンで描かれた水の流れは実に細かくて秀逸です!!!✧
↑↑は最も明るい照明の時^^照明の濃淡によって水の流れの感じも変わると想われます✧
新潟県十日町市馬場壬 848
料金; 個別鑑賞券300円
公開期間; GW期間・5/9(月)~7/29(金)の土日祝・7/30(土)~9/4(日)の火水以外
*撮影日; 2022年5月下旬*