温泉巡り一人旅の楽しみは・・・

誰に気を遣うことなくマイペースな一人旅の回想録で、老若男女問わず安心してご覧いただけます♨

熊本県南部 人吉温泉「人吉旅館」さん(回想録; 復興を願って・・・)

 
 
この度は、南九州豪雨をはじめ、九州北部・中国地方北西部・岐阜県の豪雨災害で
犠牲になられた方々に謹んで哀悼の意を表します。
ならびに、被害に遭われた方々に心よりお見舞い申し上げます。
 
 
去る7月6日、九州南部地方に甚大なる被害をもたらした未曾有の集中豪雨の影響で・・・
今から約3年前(2017年10月)に訪れた、九州の小京都と呼ばれる風光明媚で上品な町並みの、
城下町である人吉市街に、日本有数の暴れ川「球磨川」が氾濫し、市街地全体が真っ茶色の濁流の中に
水没してしまい・・・
家々の屋根の1部分しか見えない状態の、ありえないほど恐ろし過ぎる映像を伝えられた時・・・
あまりにもショック過ぎで、思考停止状態でフリーズして食事も喉を通れない状態となってしまい・・・
以来ずっと、数日は思考停止状態でしたが・・・
やっとまともな思考回路に戻った途端に、以前お世話になった、昭和9年創業の人吉旅館さんのことが
心配でならず、様々なネット情報を検索してみると、なんということか・・・・・・
やはり熊本県有数の温泉地・人吉温泉の温泉街全体が大打撃を被っていた・・・・・・・・・
ただでさえ、コロナ禍で約2ヶ月位休業され宿泊客が低迷していたところ、やっと戻り始めた矢先の
出来事だったとのことで・・・いわくつきの「Go To キャンペーン」も実施されることになったのに
再び先行き不安定な事態に遭ってしまい・・・じつに心が痛み、気の毒でなりません・・・・・・
 
今回、非常に残念に感じたことは・・・
「球磨川」の支流で、人吉盆地で合流する「川辺川」上流に、ダム湖の底に水没する地域住民の
ほとんどの方々が頭地代替地に移住完了されているなど、約7割以上建設予定が進んでいたとされる
「川辺川ダム」が計画通りに建設され、2017年に完成されていたら今回のような大惨事を防げたことか・・・全ては結果論なので諸説ありますが・・・
京都大学防災研究所の災害調査報告によると・・・「球磨川」上流域に存在する「市房ダム」によって洪水被害の抑制効果は大きかったものの「市房ダム」よりも下流域での複数の支流からの流入と、「川辺川」からの流入によって、人吉市で大規模な氾濫が起こったという分析結果がありました。
なので、かなり軽減され今回のような甚大な被害には遭わなかったかもしれないのでは!?
・・と思われました。
というのも・・・昨年2019年10月17日の台風による豪雨で、関東平野でも「多摩川」が氾濫し、流域に
住む方々に大きな被害(床上1m以上の浸水など)が及んだにもかかわらず・・・
川沿いの土地よりも川面の標高が高い危険な「海抜0m地帯」を多く抱える「利根川水系」(群馬県~
東京都限定・栃木県の水系は除く)では被害が無かったようです!!
その理由の「ひとつ」として・・・
長年にわたり着々と建設計画が進められていた群馬県吾妻郡長野原町の「八ッ場(やんば)ダム」
(旧・川原湯温泉街が丸々水没しました・・・泣)は「川辺川ダム」と同じく、水没する地域などの
住民に建設を反対され続け、民主党政権に変わり中止され頓挫していましたが、自民党政権(←新型
コロナ対策はダメダメですが・・・)交代とともに建設再開され、2019年(令和元年)10月1日から
試験湛水開始されたおかげで、下流域に大量の水が流出せず、多くの住民が救われたということを
知りました。
※ 「八ッ場ダム」の湖底に水没してしまった旧・川原湯温泉街は、高台の頭地代替地に移転して
    新しいフレッシュな「川原湯温泉」に生まれ変わりました♨✧
    以前のような独特な風情はなくなりましたが、また違った趣きのある素晴らしい温泉地となり、 
    自分は既に2回訪れました・・・情勢が落ち着いたら再訪予定です^^
 
また、人吉旅館さんに宿泊する前に立ち寄った市内の温泉施設・おおがの湯さん(ご無事とのこと✧)に
興味深い案内文面が展示されていたことを思い出しました。
・・・それは、人吉温泉の泉質の良さを伝えているものでしたが、同時に人吉盆地は洪水が起きやすい
地形でもあるという・・・以下はその一部です・・・
【その昔、人吉盆地は湖で「人吉湖」といわれた「琵琶湖」に次ぐ日本第二の巨大なもので、そこに
洪水時などに周辺の小河川から集中して流入されたと考えられる樹木が地圧によって圧縮され、真っ黒に炭化された状態で地層「人吉層」に挟み込まれました。】
たしかに・・・人吉温泉は、濃厚な有機成分含有された、とっても良質な「モール泉」が多いですが
上記のような、過去の犠牲の上で成り立っているとしたら、何だか複雑な気持ちになりました・・・
 
前回、大水害があったのは約55年ほど前とのことですが、温暖化が進行しつつある最近の気候変動は
まったく先行き不安定で、今回は想定外の「線状降水帯」も発生するなど・・・
集中豪雨の予測もかなり難し過ぎると思われ、また今回同様の水害がいつどこで起こるか予測不可能な
状況とも思われますので・・・・・・
少なくとも自分は、長い目で見て将来のことも踏まえ、有るに越したことのない「川辺川ダム」建設の
再開と「暴れ川・球磨川」の改修(川底中心に)などの治水工事を強く希望します。
でないと、せっかく多大なるご尽力ご苦労のうえに復興されても・・・
近い将来また二の舞となってしまい、安心して暮らせる保障は無いと思われます。
しかしながら、ダム建設~完成には、約10年ほど要するので・・・
直近の秋の台風や来年に備え、最も手っ取り早い対策は、まずは地道に川底の不必要な岩石・砂礫を
根こそぎ除去することが急がれます。
あと、反対派の多い「ダム建設」に代替する治水方法には「遊水地建設」「放水路建設」「引堤・堤防嵩上げなどの護岸工事」などの強化工事を早急に行うことが挙げられますが・・・
以下の理由で、かなり厳しく不可能かと思われます。
・「遊水地」とは・・・洪水時に溢れた水を一時的に氾濫させる池のことですが、これには広大な土地の
   確保が必要で、予算は約1兆2000億円・約100年以上要するとのことで、しかも流域の建設予定地の
    「自然環境保護」の観点からすると、周辺の森林を広範囲にわたり破壊して造成せざるを得ず、
      反対意見が多いとのこと。
・「放水路」とは・・・「球磨川」下流部に支流の川を人工的に建設して放流するというもので、
   予算は約8200億円・工期も45年かかるそうで、そのうえ下流部の八代市が反対されていて(ご自身
   たちの居住地を洪水から守るには当然の行為です)過去に頓挫したとのこと。
・「引堤」とは・・・堤防の幅を広げることで予算が約8000億円で、広域の土地を高台にするため、
   工期は約200年もかかるうえ、建設予定の流域住民の方々が農地居住地が無くなってしまうと
   反対され頓挫したとのこと。
・「堤防嵩上げ」とは・・・文字通り堤防を高くすることで、土地の新たな買収は不要で予算は約2800億円
   ほどで済みますが、工期は約100年もかかり・・・
   しかも観光都市・人吉市の景観を思いっきり損ねるので反対されたとのこと(市民の方々からすると
      死活問題となり本末転倒となってしまい当然と思われます)
このように、熊本県知事の「ダム建設代替案」は全て、ことごとく周辺住民の方々などに反対され
頓挫しており「川辺川ダム」建設中止後から現在まで、全く手付かずだったという呆れ果てた状態だった
そうなので・・・
約7割以上建設予定が進んでいるため建設費も最も抑えられ、あと約10年という工期も最もかからず
最速で完成できる「ダムによる治水」が最も効果的なうえ、自然環境保護の観点から考慮しても現状の
自然を最も破壊せずに済むと思われるので、目先のことに煽られることなく・・・
後世の住民の方々のためにも、一日も早く建設再開されることを強く切望いたします。
 
人吉の街は、2015年4月には近隣の球磨郡の各市町村と並んで「相良(さがら)700年が生んだ保守と
進取の文化~日本で最も豊かな隠れ里-人吉球磨~」が日本遺産にも認定されていますので、
この美しく素晴らしい街を是非、今後も維持していただきたく思います。 
一日も早い復興を、心よりお祈り申し上げます。 
 
 
人吉旅館さんは、温泉街の中でも最も「球磨川」に近い位置にある温泉宿のうちの1軒で、平時には
風光明媚な「球磨川」の眺めを堪能でき、清流のせせらぎを聞きながら心地良い眠りにつける素晴らしい温泉旅館で、温泉の泉質もとっても良く、何と行っても「国指定有形文化財」の風情豊かな素晴らしい
建物が超絶魅力的でした。
ただ救いは・・・大好きな女将さん方がご無事であったこと、歴史ある建物自体は流されずに外観を留めていて、全21室のうち13室が浸水したということでした。
しかし、まだ復旧は全く見通せていないそうですが・・・
これまた厄介な新型コロナウィルスのせいで、復興を担う要のボランティアは県内限定とのことなので
復興速度が遅れてしまいそうで、都内在住の身としては何とも歯がゆく・・・
とはいえ、感染者が少ない県から応援に来た医師が感染していた(人吉市の皆様は陰性で安心しました!)という恐ろしい情報もあり、ワクチンも無い現在では、県内の方々だけで少しずつ・・・の方が
絶対的に安全だと思います。
不自由極まりない、思うとおりにならない集団での避難所生活のうえに、恐ろしいウィルスの恐怖が
圧し掛かってくるなんて、想像を絶する脅威・・・・・・考えただけでもゾッとします!!
そんな中、ただただ1日でも早い復興をお祈りしながら、今自分に出来ることを細々と行っていく
しかありません・・・
 
 
 

    f:id:onsen_tabi1:20200724002126j:plain                                                                      「国指定有形文化財」の趣き深い外観

 

    f:id:onsen_tabi1:20200724002313j:plain                                                                             太~い梁が魅力的な風情あるロビー

 

    f:id:onsen_tabi1:20200724002505j:plain                                                                                   ロビーから客室に向かう廊下

 

          f:id:onsen_tabi1:20200724002556j:plain                                                                           自分が宿泊した部屋へと続く趣き深過ぎる長~い廊下

 

          f:id:onsen_tabi1:20200724004022j:plain                                                                  さらに階段を上って・・・今回お世話になった部屋へ向かいます~

 

    f:id:onsen_tabi1:20200724002902j:plain                                    中2階相当の高さの部屋なので・・・今回はご無事だったのでしょうか・・・

 

    f:id:onsen_tabi1:20200724002611j:plain                         当初は清流「球磨川」の眺望を堪能しましたが・・・その立地ゆえ非常に心配でなりません・・・

 

          f:id:onsen_tabi1:20200724003017j:plain                                                              男女別大浴場と2ヶ所の貸切風呂へ続く長~い廊下も風情豊かでした♨

 

    f:id:onsen_tabi1:20200724003118j:plain                                            このお宿の超メイン「浴槽の中にベンチがある」2つのお風呂♨

      泉質; ナトリウム-炭酸水素塩・塩化物温泉(低張性弱アルカリ性高温泉 pH値 7.96)
    微黄濁色・甘めの極微酸&鉄味・極微鉄&モール臭  100%源泉掛け流しの超良質温泉♨✧
 

    f:id:onsen_tabi1:20200724003356j:plain                          向かって手前側の大きな浴槽♨ ベンチでの「座湯」は超絶ラクで最高です!!!

 

    f:id:onsen_tabi1:20200724003504j:plain                 こちらは向かって奥の方の中浴槽♨ こちらでもベンチに座って「座湯」が楽しめました✧

 

    f:id:onsen_tabi1:20200724003523j:plain                                                               こちらは、もう1ヶ所の石造りの内湯大浴槽♨

 

    f:id:onsen_tabi1:20200724003632j:plain                                          夕食は、広~い食事処で和会席料理を美味しくいただきました^^

 

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      JR肥薩線を走るSL号にちなんで・・・地元・人吉の最高級ブランド「球磨の黒豚」
       茶しゃぶ鍋に点火してしばらく経つとSLが蒸気を吹き上げてきます!!!

 

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         こちらは豪華な朝食✧ 和食膳 + ハーフバイキングのスタイルです^^
      韓国出身の素敵な女将さん特製のキムチは本場の味で、超絶美味し過ぎて数回お代わりして
                         しまいました・・・ぜひ是非またお邪魔して美味しくいただきたいです!!!✧

 

 

最後に・・・「人吉旅館」さんと、ネットで検索すると・・・
真っ先に出てくるのが「人吉旅館破壊事件」ですが、これは全くのデタラメです!!!
気になったので、この事件の真相を少々調べてみると・・・
正式には「熊本旅館破壊事件」で、1987(昭和62年)1月に同県「水俣市」の旅館で、新日本プロレスと
UWF選手の団体一行が酒席にて地獄絵図のような大乱闘を起こした挙句の果てに、お宿を1軒丸々
破壊してしまい、数ヶ月間も営業不可能とさせてしまったという・・・非常に迷惑極まりない伝説の事件
とのことで、アントニオ猪木さんをはじめ比較的酔っていなかった数名の若手選手で片付けたうえで、
約数千万円の補償をしたという、あり得ない事件とのことでした・・・!!!
お気の毒極まりないその旅館は「崖に建っている・8階建て・その後廃業」という僅かな情報しか
ありませんでしたが、温泉ヲタクな自分はピーンと直感が閃き・・・
以前(2017年)水俣市のY温泉にある、素晴らしい絶景露天風呂と美味しい料理が魅力的な温泉旅館に訪れた際、すぐ隣に立派な8階建て(崖の縁に建ち県道からは高層階にある玄関に入る形式)
くらいの廃墟となったお宿のことを思い出しました・・・・・・
このSさんという立派な温泉旅館は、1953年に設立されたとのことですが・・・上記の事件があった
ほぼ同時期の、なぜか1988年に数億円を投じて全面改装されたそうで・・・
その後、バブル期にはかなり繁盛されていたそうですが、崩壊後は団体客の減少などから収益悪化の
ため、2015年4月に廃業されたとのことです。
おそらく・・・超絶お気の毒過ぎる、このSさんと間違われて勘違いされている??と思われます。 
  ❖ 以上Sさんについては、あくまでも憶測ですが・・・明らかに人吉旅館さんではありません!!
 
 
 
しかし・・・今回は、未曾有の水害によって1階部分のほとんどが被害に遭われてしまったそうで
1日も早い復興を切に・・・切にお祈りいたします。
気長にお待ちしておりますので、世の中の情勢が以前のように落ち着き平和になりましたら・・・
その暁には、1週間ほど長期滞在させていただきたいと思っております♨✧